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旅の写真日記

+ キルギスで馬旅(全5頁)

旅の写真日記
キルギスで馬旅 (3)

昼寝の後、ようやくトレッキングに出発。マクサット君は、2人分の荷をすばやく馬の横腹に縛りつけ、「レッツゴー!」と大きく叫んだ。
マクサット君に手伝ってもらい、何とか僕も馬上の人となる。
マクサット君は22歳の青年。コチコル村生まれで、今はトレッキングガイドが仕事。
「ガイドの仕事はお金がいいから。両親からもありがたがられてるんだ。けど将来は勉強し直して、別の仕事をしたい。そうそう僕、今彼女がいるんだ。でもまだ結婚はしたくないんだ。うーん、4年後、そう4年後がいいな」
「どうして4年後?」
「だって、もう少し自由に遊びたいでしょ」とマクサット君はいたずらっぽい顔で笑って言った。

村を抜けて10分も行くと山道に入った。
時折、馬に乗ったキルギス人の男とすれ違う。マクサット君も相手も、逐一馬を止める。出会う人ひとりひとりと、ちゃんと時間をかけて話をするのだ。まずは握手で始まる。僕が見た限り、年下の者が先に手を差し出し、その手を年長者が受ける、ような気がした。
「どこどこ村の何々と言います。このヒマ人旅行者を連れてソンコル湖へ向かいます。今夜はどこどこの家族のユルト(=キルギス式移動式住居)に泊まる予定です」
というようなことを、マクサット君は話していた。

何人目かで、馬の横に皮袋をぶら下げた男と出くわした。
何だろう、と思って僕がジロジロとその袋を眺めていると、「飲め、飲め」と男が勧めてきた。中を見ると、白いミルクのようなものが入っている。馬乳酒だ。一口もらう。ピリッとした酸味が舌を突く。あんまりうまくないなぁ、と思いながらもせっかくなので飲み干すと、「もっと飲め」と勧めてくれる。結局もう1杯もらう。舌が慣れてくると、「あれ、うまいかも」と思い始めた。これは馬の乳を発酵させて作る酒で、キルギスではクムスと呼ばれている(牛乳から作る地域もある)。

見渡す限りの山景色の中を、気持ちよく澄んだ空気を吸いながら、ひたすらパカパカと進んでいく。
僕の馬は、道端の草を歩きざまに器用に食んでいく。日中は日差しが強いので、馬もボタボタ汗をかいている。クソも器用にボタボタ落としていく。馬は歩きながらクソをするけど、小便をする時は立ち止まらなければできないようだ。うーん、納得。

いくつかの峠を越えて、何本かの小川を渡り、夕方5時過ぎに、今晩お世話になるユルトに到着した。

写真館「キルギスタン」に馬旅中の写真があります。

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