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旅の写真日記

+ 明るく貧しい働き者(全3頁)

旅の写真日記
明るく貧しい働き者 (1)

カンボジアのプルサットという町に来た。
2日目の早朝、巨大な湖トンレサップ湖畔にある町へ日帰り旅行するため、乗合いトラック乗り場へ向かった。
小さなバンや小型トラックが10台ほど停まっていた。
近くにいたおじさんに「コンポンルオン行きはどれ?」と聞くと、そばにあった白いバンを指差した。出発は午前9時らしい。まだ2時間近くある。
すでに2人のカンボジア人が車に乗り込み、席を確保していたが、僕はお茶でも飲もうと思い、市場へ向けて歩いた。
しかし、なかなかお茶のできるところが見つからない。適当な軽食をとれる店もない。この間まで滞在していたベトナムに比べると、市場に並ぶ果物の種類もずいぶん少ないな、と感じる。
しばらく歩き周ると、男どもがわんさか集っているカフェを見つけた。授業中の教室のように、みんな一様に店の奥の方を向いて座り、熱心にテレビドラマを見ている。僕もそこに混じって一服。

8時半に車へ戻ると、席は大方埋まっていた。
車の助手を務めているのは、体格のいい元気な少年だった。
額にアザのような赤い痕があるので、「どうしたの?」と聞くと、額を指でつまむ動作を繰り返して、「これこれ」と言った。頭痛を治すおまじないだろうか?
少年は、ダンボールやビニールで包まれたたくさんの荷物を、これでもかこれでもかと車内に詰め込んでいた。大人の運転手連中に混じってきびきび働くその姿は、「少年」ではなく、たくましいひとりの青年だった。

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