TOPページ へ

旅の写真日記

+ 山奥でサッカー三昧(全3頁)

旅の写真日記
山奥でサッカー三昧 (3)

その翌日も、しつこく小学校へ。途中、家の前でサンドバッグを蹴っていた見知らぬ兄弟をサッカーに誘った。日本なら誘拐 or 連れまわし容疑?
小学校で5対5のミニゲームを1時間ほど。ポクポク君も来ていたが、ゲームになると尻込みして帰ってしまった。

昼過ぎに解散。泥だらけ、汗だらけ。
宿に帰ってシャワーを浴びた。1日4$だが、こんな田舎でケーブルテレビ付で清潔な、なかなか気持ちのいい宿だった。
狭い浴室で水シャワーを浴びていると、ピタリと水が出なくなった。安宿ではよくあることだが、よりによって全身泡だらけのこんなときに。あちこちいじってみたが、水は断固として出てこない。タオルを巻いて外に出て、下の階のにぃちゃんを呼んだ。
「水が出ないんだけど」「うん、出ない」「いつ出る?」「うん、出ない」「きっぱり言うなあ。おれはシャワー浴びたいんだけど」。
気のよさそうなにぃちゃんは、蛇口をひねったり浴室をぐるぐる見回したり奮闘したあと、「あ、タンク掃除してるから5分待って」と言った。なんだよ、はじめからそう言えばいいじゃん。
30分ほど待った。頭の泡もすっかり蒸発してパリパリライオンヘアになったころ、ちょろちょろとシャワーから水が出始めた。

その日の夕方、例の雑貨屋に行った。
翌朝パイリンを発つので、昨日の子にサッカーボールをあげようと思ったのだ。
いつものようにおばちゃんは、ふてぶてしく板の上にあぐらをかいていた。
3歳の子もいた。ボールあげるよ、と言うとワサッっと飛びつき、さっそく蹴りはじめた。ポクポク君もいた。どうやらこの奥に家があるようだった。ちょうど最後に会えてよかった。
ふたりの子どもの、おっとりした玉蹴りをしばらく眺めたあと、淡いオレンジ色の空に包まれたパイリンの町で、冷たいビールをキュッと飲んだ。(終)

(1)(2) >(3)

TOPページ

Copyright © 2005 Kyoren Takamasa all right reserved.