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旅の写真日記

+ ダラットのくじ売り少女(全3頁)

旅の写真日記
ダラットのくじ売り少女 (3)

アンちゃんと話していると、やわらかい気分になってきた。
僕はかばんに入れていた、インドで買った首飾りをアンちゃんにあげた。
「ありがとう! これ日本の?」
「いや、インドのだよ」
と言うと、アンちゃんは「ああ、これね」と言いながら合掌して頭を下げ、お坊さんの真似をした。ふたりで声を上げて笑った。
アンちゃんは、子どもには少し長すぎる首飾りを首から外し、左の手首に巻き直して僕に見せた。そして、それまでしていた黒い数珠のような腕輪を、「あげる」と言って僕に差し出した。
「え、でもこれはアンちゃんのでしょ?」
「だって、この首飾りもあなたのでしょ」
「あぁ、そっか。ありがとう!」
子どもサイズの腕輪は僕の手には少々きつかったが、うれしいプレゼントだった。
アンちゃんはお茶を3杯飲み干した。別れ際、メモ用紙に僕の日本の住所を書いて渡した。住所の最後に「Nhat Ban(日本)」と書くと、「え! 日本人なの!?」と言われた。何度も言ったじゃん……。
アンちゃんと話したのはほんの30分ほど。その30分のおかげで、その日一日はずいぶん気分よく過ごせた。またダラットに来たいなと思った。うれしいプレゼントだ。(終)

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