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旅の写真日記

+ ウルムチの静かな夜に(全3頁)

旅の写真日記
ウルムチの静かな夜に (2)

少し離れたテーブルに、日本人らしき女性が座った。
目が合ったので、「こんばんは」と言うと、彼女は軽く会釈を返した。何となくそれ以上話しそびれてしまい、僕は会計を済ませて宿へ戻った。

宿のエレベーターに乗ろうとして、ふと、屋台で買った果物の袋をレストランに置き忘れたことに気がついた。
店に引き返すと、さっきの女性のテーブルに日本人の男性が向かい合って座っていた。少し話がしたくなって、その席に入れてもらった。ふたりはカップルかと思ったがそうではなく、ドミトリーの部屋が一緒になっただけだと言う。

滋賀出身のその女性は、大学生。2度目の海外旅行で、ここ新彊ウイグル自治区を選んだ。
「漢字読めば言葉はわかるし、イスラムチックで何か変わった所だから」
と言って笑った。
口数は少ないが、さっぱりと明るい印象を与える女性だった。
「ただ、中華料理、私には味が濃すぎるなぁ」
3人でつまんだ牛肉の炒め物も塩味が効きすぎていて、やたらと喉が渇いた。

男性は佐賀生まれの、大学4年生。夏休みを利用して上海に1ヶ月短期留学した帰りに、ぐるりと中国を旅行しているそうだ。
「中国人大好き。人の好き嫌いがはっきりしてるし、やさしいし」
高校の修学旅行で初めて中国に来たときは、「こんな国大っきらい!」だったそうだ。翌春からは商社で働くことが決まっている。
「将来は絶対中国で働きたいですよ。日本で5年キャリアを積めば、中国ではすごく大きいキャリアになるらしいんで。それまでにビジネス中国語ぐらいできるようにしなきゃなあ。でもこうやって旅してみると、やっぱ就職せずに旅を続けてみたいな、って気も起きちゃいます」
僕たちは、それぞれの中国でのおもしろい体験談や、「どこの国の女性がきれいだ」といったたわいもない話を肴に、1時間ほどビールを飲んだ。

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