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旅の写真日記

+ とある日の遠足(全2頁)

旅の写真日記
とある日の遠足 (2)

少年僧と別れて山を下りた。ふもとの雑貨屋らしき小屋に軒を借りてひと涼み。日陰は偉大だなあ。“陰”なのに存在感ばっちりだ。
「水をちょうだい」とたずねると、店のおばちゃんは何やら大きな声でバババッとしゃべり、僕の顔をのぞきこんだ。
「どこから来た?」「ジャポン」「今日はどこに泊まる?」「バッタンパン」。
おばちゃんはクメール語、僕は日本語。こっちが英語を話そうが、エスペラント語を話そうが、手旗信号を送ろうが、おばちゃんはおらがクメール語一筋。自信に満ちたその表情は気持ちがいい。とにかくやたらと声のでかいおばちゃんだった。

僕らの奇妙な会話を聞きつけて、周りの掘っ立て家屋から子どもたちがぞろぞろと集まってきた。
くりんくりんの目にカールしたまつげ。そんなクメール顔の子たちの中で、ひとり中国系の顔をした男の子がいた。僕が、その子と自分の顔を交互に指差して「ジャポン、ジャポン」と言うと、キャキャッと笑った。そしてなぜか、となりにいた男の子のパンツをずり下げては、何度も僕に見せてくれた。ずりさげられた子も、しばらくフルチンで歩き回ってから、ふと思い出したようにパンツを上げて笑っていた。(終)

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