モノクロ写真館
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中国の朋友 6

日隆でバスを降りて宿に入ったところで、財布やパスポートを入れたリュックを車内に置き忘れたことに気づいた。バスはすでに終点の村へ向けて出発した後。
宿のおばちゃんたちに事情を話すと、わいわい協議してくれてから「この男が車でバスを追っかけてやると言っている」と言った。「ただ、200元(=約3000円)よこせと言ってる」と。
高い、と思ったが値切り交渉してる暇はない。即、おっちゃんの車に乗り込み「急いでくれ!」と急かした。するとおっちゃんも「おっしゃ田舎町で久々に燃えるぜぃ」と言った感じで、悪人面にますます精気をみなぎらせ、うねうねの山道を対向車お構いなしにビュンビュン飛ばした。
始めは「リュックが戻ってきますように」と願っていた僕は、「無事に生きて帰れますように」と祈らざるを得なくなった。

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